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女ゴコロ ~雨のち晴れ~

「いらっしゃいませ。お客様、1名様ですか?」


顔立ちの整ったイケメン店員が出迎えてくれた。


「いえ、後からもう1人・・」


ここは倉敷の笹沖通りに面したとある居酒屋チェーン店。ここに来るのはいつ以来だっけ。


それにしてもアイツはまた遅刻か。付き合いたての頃は女の子を待たせるなんて・・とか思ってたけど、今では慣れっこになっちゃったな。
まったく。たまには私より先に来てみろっつーの。まぁいいか。


席に通されて待つこと30分。
「わりーわりー。」と、気持ちのこもっていない謝罪の言葉とともに
アイツがきた。
「また遅刻?今日はここ出してよね。」私はわざと不機嫌そうに言って様子をうかがう。
「わかったよ。出せばいいんだろ?」
なに、逆ギレ?もぉーしょうがないヤツ。
「うそうそ。冗談だってー。さっ、何頼む?」
「とりあえずビールと適当に焼き鳥。」
「うん、分かった。店員さんすいませーん。えっと、ビールとぉ・・・」
だけど何でこっちが気を遣わなきゃなんないわけ?


おかしい。ビールも焼き鳥も来た。アイツが好きなたこわさだってある。なのにアイツは何も喋ろうとしない。ましてやキョロキョロして目も合わそうとしない。もぉー何なの?さすがに私もだんだん不機嫌なってくる。そして気まずい沈黙が続いた。


そんな沈黙の中、隣で必死に“とりから”という言葉の意味を説明する男の声が聞こえる。焼き鳥屋からカラオケで“とりから”ねぇ。上手いこと言うもんだ。


どこか変なアイツをよそにこんなことを考えていた矢先、突然店内が暗くなった。そしてどこからか拍手が聞こえてくる。見ると店員さんがローソクの灯ったケーキを運んでいた。誕生日のお祝いかぁ。店内に広がっていく拍手の中、私も手をたたいて祝福した。


ちらっと横目でアイツをうかがうと、ますます都合が悪そうな顔をしている。何よ!私が何か悪いことした??今にも口に出してそう言ってやろうかと思ったその時、
「オレ、あんな風には出来ないけどコレ・・」
見ると手には小さな白い箱。
「明日は付き合ってちょうど5年の記念日だろ。だから今日必死に探してたんだよ。そうしてたら時間かかって・・遅れてほんとゴメンな。」
フタを開けると中にはシルバーのリングが入っていた。驚きと涙で、
「ううん、ありがと。嬉しい。」
そう言うのが精一杯だった。


「“とりから”する?」
アイツが急に言い出した。なんだ、やっぱ聞いてたんだ。
私は笑ってうなずいた。


アイツがいつも歌う『そばにいて』が、
今日はココロに響いた、気がスル。。

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