完全ブログ宣言

もうひとつ先へ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

PageTop

ニアミス 

「いらっしゃいませ。お客様、2名様ですか?」

顔立ちの整ったイケメン店員が出迎えてくれた。

「うん、2人」

答えたのは俺。

ここは倉敷の笹沖通りに面したとある居酒屋チェーン店。実際に入るのは初めて。


これを個室系ダイニングとは言えないんだろうけども…。通されたのはいわゆるボックス席で、隣の席とはしっかりとした“壁”で仕切られてる。他の客のたばこの煙なんかが気になることはないし、落ち着ける空間に間違いない。「それにしても月曜の夜にしては混んでいる」、そんなことを思ったけれど、ここが初めて来た店だったことを思い出す。まとまりはないけれど、大型デパートに大型電気店、レストラン、スポーツショップ、アミューズメント施設から図書館まで…、倉敷駅へとつながる笹沖通りとはなにかと揃っている通りである。混むのもしかたないか。


せっかくの帰省中、このまま帰るってのもつまんないな。これが“彼女”を誘った理由。慣れない車ではあるけど、彼女の家まで迎えにいって、そのまま俺の家と反対の方向へと車を走らせた。運転するのはいいのだけど、行く先もなしにドライブを楽しめるほど道に詳しくない俺は、倉敷駅へ行く途中にいつも横目に見ていた居酒屋に入ることにしたわけだ。
なんともさらっと誘ったようではあるけど、考えてみれば2人でゆっくり話をするのはこれが初めてだった。「大勢で遊ぶときはいつもそこにいるのだけれど…」、印象としてはお互いにそんな感じじゃないかと思う。

俺はいつも行き当たりばったり。やることがないから友達を誘って遊びにいくのは小学生のときから変わらないけれど、それがやれ、相手が女の子で、自分が車を運転して、はるばる笹沖で、しかも居酒屋である。自転車で近所の公園や校庭や海に行って遊んでた頃に比べて、漠然と大人になった気がした。車ってことでアルコールはないのだけど、テンションは高め。お互いの小さい頃の話や彼女の好きな温泉の話なんかをしていると、時間は“あっちゅうま”に過ぎていった。
グラスが汗をかかなくなった頃、俺はふいに「“とりから”する?」と言った。もちろん彼女はキョトーン。“とりから”というのは俺の名づけた男友達の仲間うちの隠語。ふいに彼女のオハコ『プラネタリウム』を聴きたくなった俺は、なぜか隠語でここのすぐ隣にあるカラオケへと誘ったのだ。もちろん“とりから”の意味は居酒屋(焼き鳥屋)からカラオケに行く流れのことを言うのだけど、彼女は俺がいくら説明してもピンときていない。まぁピンとくる必要はないのだけど、とりあえず“とりから”を了承してくれてうれしかった。俺は氷で薄まったぬるいジンジャエールを一気に飲み干した。


そしてその時、こんなことも起こった。席を立とうとした瞬間、急に店内が少し暗くなってどこからともなく拍手が聞こえたのだ。店員は俺の席の前を通り過ぎ、隣のボックス席へとローソクのささったケーキを運んでいる。どうやらそれはメニューにはないはずのバースデイケーキ、誕生日のお祝いのようだ。居酒屋のチェーン店で、こんなお洒落なサービスがあるのかと驚いたけれど、上機嫌も作用してなんともこっちまでハッピーな気持ちになった。かつて焼肉屋で知らない人のプチ結婚式に遭遇したことがあったけれども、そのときに「これもなにかの運命か」と思って自分もつられるように拍手をしたのを思い出した。そして今、俺の前で彼女も拍手をしていた。



大人になった自分、小さい頃の話、誰にもめぐってくる誕生日…。なにか時の流れを感じて感傷的な気分のときに聴く『プラネタリウム』は何とも言えずよかった。「みんなでいるときとは雰囲気が違う」と言われるほど、ナチュラルハイとでもいうような不思議な気分のまま、岡山最後の夜は過ぎてった。
スポンサーサイト

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 
ところどころ見え隠れする“にじー節”にクスリですw

この手の仕事はもうお手のもんですね。さすがの一言です。

温泉が大好きで『プラネタリウム』を歌う“彼女”というのはもちろん・・・アノ人のことですよねっ。「“とりから”する?」と言ったにじーに対してキョトーンとする彼女www絵が浮かびます。

>「大勢で遊ぶときはいつもそこにいるのだけれど…」
みんな根っこでは繋がってると信じたい友達ではあるけれど、実際に二人きりで話したこととかはない人も多いよね。だから意外に脆かったり。。そこんとこは何とかしたいなぁと思ってます、個人的に。

>「みんなでいるときとは雰囲気が違う」と言われるほど、ナチュラルハイとでもいうような不思議な気分
最後に恋への発展をほのめかすようなフレーズを織りこんできたにじー君は、本当に思わせぶりで、茶番で、遊び心のある、お洒落ガイだと思いますw

3110 | URL | 2006年04月11日(Tue)18:01 [EDIT]

まったくもぅ…

>この手の仕事はもうお手のもん
あなたの手の上で踊らされてるってのに。

虹原 | URL | 2006年04月12日(Wed)00:27 [EDIT]

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。