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もうひとつ先へ

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男、ふたり鳥

「いらっしゃいませ。お客様、2名様ですか?」

顔立ちの整ったイケメン店員が出迎えてくれた。

「はい」

答えたのは俺。

ここは倉敷の笹沖通りに面したとある居酒屋チェーン店。ここに来るのは何度目だろうか。


よく考えるとここに来るときはいつも4人だった。俺、俺の彼女、こいつ、こいつの彼女。でも今はこいつと2人。そう2人。時が経つのは早いな、とか考えてしまう。
「ただいまカウンターしか空いてないんですけどどうされますか?」そんな考えを遮るようにイケメン店員が聞いてくる。
「じゃあ待ちます。」
答えたのは親友Y。


それにしても繁盛しとるな。確か今日は月曜のはず。春休みに入ってからというもの曜日の感覚がまったくない。
「ちょっとトイレ行ってくるわ」
そう言ってトイレに駆け込むY。そういえばずっと我慢しとったっけな。1人になりふとカウンターのほうに目をやると女の人が1人で座っている。ほとんど口をつけていないサラダと酒。顔は見えないがどこか寂しそうな雰囲気を感じさせる。この人もなんかあったんじゃろうな。
「今日一日沈んで明日からは元気出せよ」
心の中で言ってみる。


そのとき急に店内が暗くなった。そしてケーキと花束をもって歩いていく先ほどのイケメン店員。居酒屋で誕生日?そしてこれは十中八九サプライズ。サプライズとしてはベタな気もするが、ここが居酒屋ということもあってかどこか新鮮だった。そして拍手をする。
「どこのだれかわからんけどおめでとう」
サプライズの誕生日会なんかしてくれる人がおるってゆうのは幸せじゃな。


明かりが点く。そこへ戻ってくるY。それにしても長いトイレじゃったな。ふと店の奥を見るとカップルらしき2人が歩いてくる。どうやら席が空いたようだ。


適当に焼き鳥と酒を注文する。テンションは低め。
「よく4人でここ来たよなぁ」
Yがつぶやく。俺はあえて何もこたえない。ほんの数ヶ月前まではこんなことになるとは思ってもみなかった。そう、この数ヶ月で事態は急変したのだ。


いろんな話をした。こいつとは高1のときからの付き合い。こんな付き合いにくい俺を1番の親友と言ってくれるレアなやつ。岡山に帰ったときは必ず会う。今回の帰省は2日の夜に帰ってきて5日の朝大阪に戻るという強行スケジュール。それでもこいつとは会う。性格とかは真逆でもこいつとは合う。


「また4人で来れたらええな」
Yは言う。
「今度は友達としてじゃけどな」


「じゃな」
身勝手にも心からそう思う。





身勝手とわかっていてもそう思う。
それほど濃かった2年7ヶ月と23日。


「ごめん」はもう言わんよ。
約束したもんな。あの噴水の前で。

でもこれだけは言わせて。

「ありがとう」

何度でも言わせて。


「本当にありがとう」












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